本社一貫生産ライン
本社一貫生産ライン
本社工場では同じ敷地内で材料受け入れから、機械加工、熱処理、仕上げまですべての工程を行っております。機械加工と熱処理部門が互いに情報共有し、完成部品の一貫生産をすることで精度の高い加工を実現します。熱処理を施すことでどうしても寸法変化が発生してしまいますが、 蓄積された情報と経験をもとに品質の高い熱処理と安定した寸法精度を保証しております。
松江という地域
島根県の松江市と近隣の地域には、多くの金属加工メーカーがあり、お互いの協力関係をもとに県内外の様々な分野の顧客と取引きをしております。当社も近隣メーカーからの熱処理依頼や、県内外から完成部品の受注をし、さらに新規の受注に向けた活動も精力的に行っております。
松江工場
主な調達材料
本社工場一貫生産ラインの主な調達材料
SS400 , SGD400
S45C
SCM415 , 420 , 435 , 440
SUS303 , 304
上記は参考例になります。
そのほかの材質についても対応可能ですのでご相談ください。
切削加工
NC旋盤
旋盤は加工する材料を高速で回転させ、刃物を当てることにより円筒形状に加工する工作機械です。現在の主力はNC旋盤で、コンピューター制御のプログラムで加工を行います。
当社のNC旋盤はギヤのブランク加工やフランジ、シャフトのような長物の加工まで対応しております。NC旋盤工程での精度が後工程にも大きく影響するため、最初の工程でありながら重要度も高い工程です。
ホブ盤
ホブ盤とは、ホブと呼ばれる歯切り専用の刃物を使用する工作機械です。
ギヤやスプラインの加工に使用されます。
当社ではシャフトなど長物へのスプライン加工をメインで行っております。NCホブ盤ではシャフトの両端へのスプライン加工を1サイクルで行うことができ、スプライン同士の同期も可能です。
キー溝盤
エンドミルを使用し円筒形状の外形面にキー溝加工を行います。
当社のキー溝盤はNC制御になっており同軸上に複数個のキー溝を加工することができます。
キー溝部分は熱処理がある場合がほとんどで、熱処理によってキー溝幅の変化が若干発生するため、処理方法に合わせたエンドミル幅を使用し、熱処理後の公差外れを回避しております。
ポリゴン加工機
ポリゴン加工機は刃物(バイト)と被加工物を2:1の比で回転させることで円筒形状の加工物に1面、2面4面(四角)等の平面を作り出します。加工時間が短く、大変きれいな仕上がりとなります。
ブローチ盤
ブローチ盤は旋盤等で加工された下穴にブローチと呼ばれる刃物を通すことで、スプロケットやボスなどの内径に加工を施します。
形状は刃物によってスプラインやキー溝、高精度な丸穴、角穴など効率よく加工ができます。
当社では立型ブローチ盤を使用しており、貫通穴にのみ加工対応しております。
フライス盤
旋盤が材料を高速回転させるのに対して、フライス盤では材料を固定し刃物を回転させることで切削をします。形状も旋盤が円筒形状に対してフライス盤では平面に加工をします。本社工場でのフライス工程は、旋盤加工後の円筒形状に溝を入れたり部分的に平面加工をする際に使用しています。
熱処理
解説
高周波焼入れとは、高周波電流による誘導加熱作用でワークの表面層を急速に加熱し、その直後に冷却液を噴射して焼入れを行う処理です。コイルを使って硬さが必要な部位だけを処理する部分焼入れ技術で、1点当たりの処理時間は短いです。
当社の設備・特徴
高周波発振機は3台あり、出力はそれぞれ40kw、100kw、150kwです。
焼入機は、40kw、100kw、150kw各1台すべて縦型となります。
縦型はシャフトの焼入れに適しており、コイルはφ10~300程度まで300種類以上が揃っています。表面硬度はHRC(ロックウェル硬さ)50~ 64、硬化層深さは、0.8~2mmが主体です。
解説
浸炭焼入れとは、低炭素鋼の表面層に炭素を染み込ませてから焼入れする処理です。
鋼の焼入れ硬さは一般的に鋼内の炭素量に比例して硬くなるため、浸炭焼入れを行うと、 表面は硬く内部は粘り強くなり、耐摩耗性に優れたものとなります。
当社の設備・特徴
当社の浸炭焼入炉(いずれもガス浸炭)のサイズは、W600mm×H600mm×D1200mmが2基、W600mm×H600mm×D900mmが2基あります。
浸炭深さは、0.4~0.8mm、表面硬度は、HRC(ロックウェル硬さ)57~62が主体です。
また浸炭焼入炉にて、浸炭窒化焼入れも行えます。
解説
焼入れとは、高温に過熱した鋼を急冷し、鋼を硬くする処理です。
焼戻しは、目標とする硬さと粘り強さを得るため、焼入れした鋼を再加熱する処理です。
焼入れを行うと硬くなりますが脆くもなるため、一般的には焼入れ後に焼戻しを行います。
当社の設備・特徴
焼入温度(焼入油の温度)は、200℃、120℃、50~90℃の3タイプで処理を行っています。
当社での焼入れは上記浸炭焼入炉を使用していますが、同炉を使用して「調質」 「焼きならし」「焼きなまし」も行っており、素材を調達して社内で「調質」や「焼きならし」を施してから機械加工を開始することも日常的に行っています。こうした処理により、高精度な加工が実現します。
「調質」とは、焼入れ・焼戻しの一種ですが、鋼の結晶粒子を細かくして鋼を強靭 化する処理です。
ひずみ取り
熱処理において、特に軸形状のものは曲がりが発生するため、曲がりを取り除く作業を行います。
熱処理を行うと、金属の組織変化に伴う膨張・収縮によって変形(ひずみ)が生じます。焼入れの際に曲がりにくい工夫をしてセット等を行っていますが、特に軸形状部品などは曲がりが発生しやすいため、焼き戻し後に1本ずつ曲がりを確認して、油圧プレスやハンドプレスを使って一定範囲の振れに収まるよう曲がりを取り除く作業を行っています。
加工品の形状によってプレスする順序や強さなどが異なるため、経験を要する作業です。
リューブライト処理 化成処理(パーカー処理)
リューブライト処理とは、被処理物の表面にリン酸マンガン系の結晶を生成させ、3~5μmの膜厚となります。外観色は、灰色や黒色です。
主な用途は、塗装の下地、潤滑性、耐食性、密着性の向上です。
研削仕上げ
研削盤
研削盤は円筒型の砥石を高速で回転させ、加工物の表面を削り取ることでμmレベルの加工精度を実現します。旋盤などの切削加工に比べ、表面の仕上がりもきめ細かく、真円度、円筒度、平面度などの高精度を求められる加工に対応します。
当社では熱処理後のシャフト類への研削加工が多いため、外径を加工する円筒研削盤の保有台数が一番多く、内面研削盤、平面研削盤、センタレス研削盤も保有しております。研削仕上げの寸法管理は切削加工の工程と比べより厳しくなりますので、加工寸法の管理はもちろんのこと測定具の管理も重要になるため、都度測定値に誤差のないことを確認してから量産に取り掛かります。